2012.03.15 更新
肥料は作物の生育や品質のよいものをたくさん収穫するために、農業生産にとって必要不可欠な資材であり、適正な使用が必要です。
作物の体を作る元素は60種類と言われていますが、このうち17種類が作物に必要な要素です。
三要素とは:窒素(N)・燐酸(P)・加里(K)
五大要素とは:三要素に石灰・苦土を加えたもの
微量要素とは:鉄・マンガン・ホウ素・銅・亜鉛・モリブデンなどごく微量の供給でよいもの
施肥方法には播種や植付け時の前に施用しておく「基肥(元肥)」と栽培の途中で施用する「追肥」があります。「施肥量と収量との関係」は、施肥量が増加すると収量が多くなりますが、次第に増加効果は少なくなります。さらに多くの肥料を与えると過剰障害を起こし収量は逆に低下します。
野菜が良い生育をするためには、野菜の種類別により必要な量を施用します。
図1 ドベックの最小樽
良品を多収するためには肥料以外にも土壌条件・気象条件(温度、光線、水)などの自然環境や作物の生理条件も影響します。土壌中の要素含有量が少ない場合に欠乏症を誘発します。図1「ドベックの最小樽」の通り、欠けたものが収量制限因子です。
肥料には拮抗作用と相乗作用があり、ある要素が多いと土壌中に十分含まれていても、作物に吸収されにくい要素があり、カリウムとマグネシウム、リンと鉄などのように図中で矢印が衝突の関係のように、一方が多すぎると適量あっても効きにくくなるという拮抗作用により結果的に不足することになります。
また、点線で示しているリンとマグネシウムのようにお互い助け合って効果が良くなる相乗作用の関係になる要素もあります。
同一の作物を連作したり、有機質資材を施用しないで多肥栽培したりすると不均衡が起きやすくなります。
図2 必須元素間にみられる拮抗作用と相乗作用
野菜の良く育つ土壌pH値は6.0〜6.8の範囲のものが多いです。
しかし図3の「土壌の反応と肥料要素の溶解・利用度」のとおり、土壌が酸性になると土壌中にあっても溶け出さないために結果的に欠乏しやすくなります。また逆に酸性が強くなると溶けやすくなる要素は過剰症を起こすことがあります。
野菜を栽培する圃場は播種または定植の20日前までに有機物と石灰は必ず施用して植付けの準備をしておき、播種または定植の一週間前に肥料を施用します。
図3 土壌の反応(pH)と肥料要素の溶解・利用度(トルオーグ,1949)
営農部 佐藤 武志
広報誌「なごみ」2012年3月号掲載
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